直球すぎです、成瀬くん
「……何さっきからにやけてんの」
「えっ、えっ…?」
何とかバレずに戻った昇降口に、何事もなかったように現れた成瀬くん。
並んで学校を出て、どこへ向かっているのかわからないまましばらく歩いていたら、隣の成瀬くんが突然私の顔を覗き込んだ。
「に、にやけてなんかないです」
「そーか?何か思い出したようににやけてるように見えたけど」
成瀬くんの言葉に、私は慌てて顔に手をやった。
…さっきのは完全に盗み聞きをしてしまった。その罪悪感は拭いきれない。
でも、成瀬くんがはっきり断ってくれたことが嬉しくて………
…まさか、それが無意識に顔に出てた………!?
「何に笑ってんの」
「な、何でもないです…!」
「何でもないって、よくそんな顔で言えんな」
「わっ…!」
私の顔に手を伸ばした成瀬くんは、私の頬に指先でつん、と触れた。
「何隠してんだ白状しろ」
「言えません…!」
「言えよ」
ガッと肩に腕を回される。
一瞬で近くなった距離に、心臓が跳ねた。
「……な、成瀬くんのこと、好きだなあって思ったんです…」
「………」
にやけてしまった理由は言えないから、代わりに本当に思っていることを伝えたら、成瀬くんはそれまでの威勢をなくしたように黙ってしまった。