煌めいて初恋
「白波さん?どうかした?」
昴は眉を潜めて、楓の顔を覗き込んだ。
「…!」
楓はハッとして、後ろへ飛びのいた。
ガタガタンッと、後ろに机が倒れる音がした。
まるで、全身の血が顔に集まったかのように頬が熱っているのが自分でも分かる。
心臓もバクバク言っていて、今にも破裂しそうだ。
「大丈夫?」
昴は再び、楓の顔を覗き込もうとしたが、楓はそれをさり気なくかわし、後ろに倒れた机を元に戻した。
なんなんだろう、これは。
覗き込んできた昴の微かな吐息、熱。
それを思い出すだけで、体がまるで自分のものではなくなったかのように火照り、震える。
楓は火照る自分の体や、動揺っぷりに大いに戸惑った。
「大丈夫…だから。あの、その……」
何を言えばいいのか。
この様子に昴は不信感を抱いているだろう。
楓は言葉を探した。
火照ってうまく回らない頭を使って。
「えっと、その、やっぱ、なんでもない」
気付いたら、そう、口にしていた。