煌めいて初恋
そして楓は、逃げるように昴の前から立ち去った。
ちらりと昴を見ると、微かに首を傾げて、怪訝そうにしていた。
周りは、そんな二人の様子を興味深そうに見ていた。
意味もなく話しかけて、やっぱりなんでもないと言って勝手に立ち去って…
私、どうしちゃったんだろう。
楓は大きなため息をついた。
昴とは隣同士の席だ。しかし今日は、自分の席ではなかなか落ち着かない。なので楓は恵の席へよろよろと向かった。
「かっ、かえで…」
「恵……。わたし、どうしたらいいの〜?」
呆けた顔で遠い目をする楓を恵は、何かに取り憑かれたのかと言わんばかりに揺さぶった。
「かえでっ!どういうことなの!?おーい」
「いたいいたい…」
思いっきり揺さぶられて顔をしかめた楓だったが、昨日のことと、今日のこと、そして自分でもよく分からない戸惑いの気持ちを恵に話した。
その話を恵は最後までじっくりと聞いていた。
そして…
「それは、恋の始まり、じゃないの?」
と、大真面目に言い放った。