ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目
 
 オープニングトーク後。

 アミュレットとフルフルフルーツが
 交互に登場して、歌を披露した。


 そして中盤、俺と苺の番が来た。

 
 両サイドからそれぞれ登場。
 そして、中央に二人だけで並ぶ。


 マイクで先に
 お客さんに呼びかけたのは苺。


「みんな、盛り上がってる??」


 苺の萌え萌え声に
 地響きみたいな太い叫びが
 会場に響き渡った。

 男性ファンの熱量、半端ねぇ。


 俺もアミュレットのリーダーとして
 負けるわけにはいかない。


「アミュレットファンのみんなも
 楽しんでくれているかな?」


 余裕を含ませたアイドルスマイルを添え
 首を少し傾けてみた。


「キャ~~!!」 「綾星くん!!」

「サイコー!!」


 苺より、俺の方が
 ファンの反応が良いじゃん。

 ちょっと優越感。


 俺の勝ちって目で、苺を見る。

 悔しそうにヤンキー眼で俺を睨んだ苺に
 俺の口からブハッと笑いがこぼれた。



 司会の明梨ちゃんが、
 今から俺と苺で歌う曲の
 説明をしてくれている。


『作詞作曲は
 アミュレットの綾星くんです』


 その言葉だけが耳に入り
 恥ずかしさみたいなものが襲ってきた。



 そうだった。

 この曲は、ほのかに聞いてもらいたくて
 歌詞を書いたんだった。


 ほのかにべタぼれ中に書いた歌詞。


 ドロ甘なセリフばっかり口走るレイジに
 頭の中が洗脳されかけた時だったっけ。


 練習で歌いながら
 『歌詞、クサすぎ。レイジかよ』って
 自分で突っ込んで照れ笑い。
 そんな日々だった。


 歌うと恥ずかしくて。
 全身むずがゆくて。

 でも、なんか幸せで。

 そんな気持ちで
 今日まで練習してきたんだった。


 バカだな。俺。

 一番聞いて欲しい相手に
 この歌を届けないなんてさ。


 司会の明梨ちゃんと目が合った。
 ギター演奏を始めてというアイサイン。


 ふ~と体中の息を吐き出して
 もう一度、会場を見回した時。
 

 見つけてしまった……


 お客さんの中に……
 大好きな人の姿を……
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