黙って俺を好きになれ
抱き上げられてバスルームに連れて来られると幹さんの手で洗われ、私もあらためて彼を隅々まで目にする羽目になった。

最低でも週に二日はスポーツジムに通うらしく、腹筋も硬いし腕も腿もそれなりに筋肉質で、とても引き締まった体付きをしていたことにようやく気付く。

「イトコはあのまま成長が止まったか」

「・・・すみません。その・・・貧相で」

「お前とは相性が悪くない。・・・十分だ」

満足げに口角を上げ、貧相は否定されなかった。・・・相性の善し悪しってどこで決まるんだろう・・・??

洗い流したあと、いいお湯加減のバスタブの中で幹さんの脚のあいだに座らされると。うなじから肩にかけて何度もきつく吸われたり、お湯に浸かっているのか何をしているのか。後ろから巻き付いた手にあちこちを探られる。

「・・・だめ、も・・・そこ、は・・・っ」

「いけるだろう?、まだ」

声は甘いのに容赦のない指先。

お風呂から上がり、湯あたり寸前の熱が引いてからもう一度ベッドに沈められた。今度は反応を楽しむようにどこまでも焦らしながら、時間をかけて。





濃密すぎる“初めて”の夜を明かし、幹さんの腕の中で目覚めた朝。
幸せと言うには心許なく、カーテンの隙間から洩れる陽の光りに後ろめたさを募らせる自分がそこに。・・・いた。
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