黙って俺を好きになれ
彼の行きたいところ、というリクエストのままに連れて来られたのは、数年前、湾岸エリアに登場したショッピングモール。と言っても屋内型ではなく、南欧風の街並みを模して色々なショップが建ち並んでる風だ。
「とりあえず端っこから入ってみましょーよ、糸子センパイ!」
筒井君はすごく楽しそうだった。人懐こそうな童顔がさらに童顔に見えるくらい。
こういう賑やかなところに来るのは久しぶり。自分の買い物だったら、ちょっとした百貨店や駅ビルで間に合わせてしまうし。
まだ1ヶ月も先なのにお店はもうクリスマス仕様で、季節に追いていかれてる気分になる。恋人がいたりすればまた違うのかもしれないけど。
「これ、可愛くないっすかー?」
筒井君が笑って差し出したのは、サンタクロースの格好をしたウサギのぬいぐるみ。ふわふわで耳が垂れてて尻尾が丸くて、思わず手が伸びてしまう愛くるしさ。持って帰りたい!
「すっごく可愛い。・・・いいな、うちの子にしようかな」
「じゃあオレと同じ名前つけて可愛がってくださいよー?」
冗談ぽく言って私の手からウサギを取り返した彼はあっという間にレジに向かい、戻ってきてラッピングされた包み入りのショップバックをもう一度差し出した。
「ハッピーバースデー、糸子さん」
いつものふやけた雰囲気と違って見えるのは伊達眼鏡のせい。・・・だと思う。
「とりあえず端っこから入ってみましょーよ、糸子センパイ!」
筒井君はすごく楽しそうだった。人懐こそうな童顔がさらに童顔に見えるくらい。
こういう賑やかなところに来るのは久しぶり。自分の買い物だったら、ちょっとした百貨店や駅ビルで間に合わせてしまうし。
まだ1ヶ月も先なのにお店はもうクリスマス仕様で、季節に追いていかれてる気分になる。恋人がいたりすればまた違うのかもしれないけど。
「これ、可愛くないっすかー?」
筒井君が笑って差し出したのは、サンタクロースの格好をしたウサギのぬいぐるみ。ふわふわで耳が垂れてて尻尾が丸くて、思わず手が伸びてしまう愛くるしさ。持って帰りたい!
「すっごく可愛い。・・・いいな、うちの子にしようかな」
「じゃあオレと同じ名前つけて可愛がってくださいよー?」
冗談ぽく言って私の手からウサギを取り返した彼はあっという間にレジに向かい、戻ってきてラッピングされた包み入りのショップバックをもう一度差し出した。
「ハッピーバースデー、糸子さん」
いつものふやけた雰囲気と違って見えるのは伊達眼鏡のせい。・・・だと思う。