黙って俺を好きになれ
『話もしたくないくらい嫌われてたら、ショックすぎて明日っから仕事行けないじゃないですか』

少しおどけた変わらない物言いに目頭が熱くなり、声が詰まった。

「嫌ってなんか・・・、それなら私の方が・・・!」

『好きですよ、オレは糸子さんが好きです。言ったでしょ、当たって砕けても合体するって。待つのも諦めるのもやめて、取り返しに行くんでオレ』

「・・・っっ」

『それだけ言いたくて電話しちゃいました。ほんとは顔見て言いたかったんだけどなぁ』

もう二度と笑いかけてもらえないと思っていたからなのか、分からない。心からほっとした自分がいた。まるで待ち望んでいたかのように。嬉しいと思った自分がいた。

『エナさんがね、初彼なのに糸子さんにしあわせオーラがないってオレをけしかけるんですよ。どうせ糸子さんのことだから、家族とあの人のどっちも取れなくて困ってんでしょ。・・・しょーがなくて可愛いセンパイですね』

言葉は意地悪なのに。声は優しかった。
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