黙って俺を好きになれ
「俺と揃いなのは、お前が初めてだぞ」

視線を剥がせずにいる私の、左手に重なり絡められたあなたの男らしい手。その薬指には石のない同じデザインの指輪が。ふたつ並んで映える。密やかに。

「あの世まで外さずに持っていけ。どっちが先に逝っても目印になる」

釘付けになりながら私はまだ惚け気味だった。

「幹さん、これって・・・」

「縁組みは破談で手打ちにした。筒井尊と(ケリ)が付けば、残る(しがらみ)もないだろうが」

ゆるゆると横を向き、間近でぶつかった目と目。

「運に見放されなきゃ、共白髪になるまでしぶとく生き延びるはずだ。苦労はさせねぇから少しくらい泣かせても赦せよ?お前に愛想尽かされないようせいぜい大事にする。黙って俺のところに来い、・・・イトコ」
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