こじらせ社長のお気に入り
なんとか部屋に戻って、シャワーを浴びる。
頭の中がクリアになればなるほど、さっきのタクシーの中でのアレは、キスだったと思えてならなくなってくる。

「なんで……?」

呟いた疑問は、シャワーの音にかき消されて一緒に流れていく。

「どうしてキスなんて……」

お水を飲んでも、ベッドに入っても、答えは見つからない。 

「……てか、セクハラ……」

さっきまで寝ていたせいもあって、眠気もなかなかやってこない。
起きていれば、飲み会から帰りのタクシーまでの社長とのやりとりばかりを考えてしまう。


『可愛いから』
『大事な秘書ちゃんだから』
『俺のいない所で、こんなに飲んだらだめだ』


社長が息を吐くように言う甘い言葉が、頭の中でぐるぐるまわる。


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