こじらせ社長のお気に入り
「あっ、お金」

「ついでだから、いいよ。それじゃあ、また会社で」

タクシーを降りて振り返った私の頬に、社長がサラッと触れた。

「えっ?」

そこは、さっきキスされたんじゃあって思ったところで……
やっぱり、さっきのは……

「危ないから、早く行きな。見届けたら俺も帰るから。おやすみ」

「お、おやすみなさい」

社長を待たせるわけにもいかず、慌ててエントランスに向かう。
中に入って振り返ると、社長の乗ったタクシーは去っていった。

「キス……されたよね……?」

確信は持てないけれど……






< 104 / 223 >

この作品をシェア

pagetop