こじらせ社長のお気に入り
「なんなら、最初からここでもいいんだけどな」

「社長?」

再び副社長がジロリと鋭い視線を向けるも、社長はなんのダメージも受けていないようで、素知らぬ顔をしている。
さすがに、それほど敏感でない私でも、なんとなく勘付く。社長は、私を自分の近くに置いておきたいようだ。

「笹川さん。重ね重ねすみません。ちょっと手のかかる面倒な社長ですが、よろしくお願いします」

途中、呆れた視線を社長に向けつつ、私に向かって頭を下げる副社長に慌ててしまう。

「あ、頭を下げるなんてやめてください。私の方がお世話になるんですから」

さすがに副社長に頭を下げられるのはありえない。



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