こじらせ社長のお気に入り
ちょっと軽そうで、おちゃらけた社長だけれど、20代で企業して、会社をここまで大きくしてきたというのは、並大抵の努力じゃなかったと思う。
どこまで役に立てるかはわからないけれど、この人達は私の力を必要としてくれている。

背筋をすっと伸ばして、2人に目を向ける。

「これから精一杯、頑張らせていただきます。ご指導、よろしくお願いします」

気持ちを込めて、深々と頭を下げた。
それからゆっくり顔を上げると、副社長は少しだけ表情を柔らかくして頷き返してくれた。

社長は……ひたすらニコニコしている。

「笹川は、ここにいるだけで即戦力になってるよ。これからよろしくね」

突っ込みどころ満載な気がするけれど……うん。流しておこう。


この部屋に連れてこられて以来、驚いたり、慌てたり、とにかく落ち着かない。
初日がスタートしたばかりだというのに、どっと疲れてしまった。













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