こじらせ社長のお気に入り
とりあえず指導期間の席として、副社長の隣にデスクが用意された。
副社長の席が総務の島の一角にあったから、必然的に私もそこへ仲間入りすることになる。
気さくな人達ばかりだから、初めから気軽に声をかけてもらえた。
「えっ?じゃあ、笹川さんは経理とか事務系ならなんでもいけそうじゃない。それだけ資格を取ろうと思ったら、大変だったんじゃないの?」
そう声をかけてきたのは、3歳上の女性社員の市井さんだった。
「まあ、大変でしたけど……それまで流されるままなんとなく過ごしてきた自分を変えたくて、一念発起して勉強漬けになってました」
苦笑しながら言えば、市井さんは感心したように私を見つめてくる。
「へえ。ちょっと、笹川さんって、突けば面白い話が出てきそうね」
「えっ?な、何もないですって」
「本当?近々歓迎会をするから、聞き出さなきゃね」
悪戯な笑みを見せる市井さん。
いやいや、本当に聞かせられるような話は何もないです。何もないぐらい、中身のない自分に気が付いて、焦って変わる努力をしてきたのだから。
副社長の席が総務の島の一角にあったから、必然的に私もそこへ仲間入りすることになる。
気さくな人達ばかりだから、初めから気軽に声をかけてもらえた。
「えっ?じゃあ、笹川さんは経理とか事務系ならなんでもいけそうじゃない。それだけ資格を取ろうと思ったら、大変だったんじゃないの?」
そう声をかけてきたのは、3歳上の女性社員の市井さんだった。
「まあ、大変でしたけど……それまで流されるままなんとなく過ごしてきた自分を変えたくて、一念発起して勉強漬けになってました」
苦笑しながら言えば、市井さんは感心したように私を見つめてくる。
「へえ。ちょっと、笹川さんって、突けば面白い話が出てきそうね」
「えっ?な、何もないですって」
「本当?近々歓迎会をするから、聞き出さなきゃね」
悪戯な笑みを見せる市井さん。
いやいや、本当に聞かせられるような話は何もないです。何もないぐらい、中身のない自分に気が付いて、焦って変わる努力をしてきたのだから。