こじらせ社長のお気に入り
「笹川さん。お昼、行こうよ」

声をかけてくれたのは、同期の沢田さんだった。同期で女子は2人だけ。良い関係を作っていきたい。

「はい!!」

この会社には、社食がない。だから買ってくるか、外に食べに出ることになる。あっ、お弁当という手もあるけど……まだ時間的にも気持ち的にも、そんな余裕がない。
とりあえず、貴重品を持って……

「笹川ちゃん達。これからお昼?」

〝ちゃん〟ってなんだ。
声をした方を振り返る。まあ、誰の声か見なくてもわかっていたんだけど。

「しゃ、社長。〝ちゃん〟っていうのは……」

「ん?ああ。俺、可愛い子にはちゃん付けなの。ねえ、沢田ちゃん」

沢田さんに目を向けると、ポッと頬を赤らめていた。
チャラい。チャラすぎると思うの。

「沢田さん、笹川さん。すみません。注意して治るような社長ではないので、苗字である限りは〝ちゃん〟付けを許してやってください」


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