こじらせ社長のお気に入り
「デレデレ?まあ、そう見えるでしょうね」

はあ……と大きくため息を吐いて、副社長は続けた。

「いろいろ言いたいことはありますが、社長、それはまた時間を設けるとして。
あなたがあの女狐に向けて発した、笹川さんを守る言葉は、私のところまで聞こえてきました。そこは、私も素晴らしかったと思いますよ」

め、女狐って……
言い得て妙だなんて、思っても言えない。

ダメージから回復してきたのか、2人のやりとりに、だんだんと気分が浮上してくる。

社長は褒められたことが嬉しかったのか、いじけモードを解除し出した。

「そう、それだよ。女狐。ああいうのって、よくできるよね。やられたこっちはゾッとするわ」

「なら、なおさら、最初にきっぱりと言うべきです。このままでは笹川さんに、枕営業でもしてるのかと思われかねませんよ」

「えぇー!?」

えぇー!?って、こっちこそえぇー!?なんだけど。
まさしく、やってるかもと疑ってましたから。

「既に思われていたようですよ」

……私は、そんなにも思っていることが顔に出ているのだろうか?
副社長は、私の顔を見ると「あーあ」とでも言いたげな様子で、呆れ顔で社長に向き直った。
その残念なものでも見るような視線の、痛いこと痛いこと。



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