こじらせ社長のお気に入り
「笹川ちゃん。おーい、笹川ちゃん」

人が気持ちよく眠っているのに、それを邪魔する声。加えて肩を揺すられる。

「ん……」

「笹川ちゃん!!」

放っておいて欲しいのに、今度はポンポンと肩を叩かれる。

「なに……よ……」

必死に目蓋を押し上げる努力をする。目は開かないけれど、脳は覚醒してきたのか、周りのざわざわした雑音が聞こえてくる。

「社長。お持ち帰りはダメですよー」

「えぇ!?せっかくのチャンスなのに」

うん?
んんん?
これ、布団じゃ……ない!?

「はっ?」

やっと開いた目に飛び込んできたのは……暗闇?

「あっ、起きた」

「はっ?あっ、えぇ!?」

聞こえてきた声の方へ目を向ければ、とろけるような笑みを浮かべた……社長!?
近い。近過ぎる。なんで?

がばりと体を起こせば、そこは居酒屋……

「しゃ……ちょう……の、えっ?膝枕!?ご、ご、ご、ごめんなさい。わ、私、なんてことを……」

どうやら、歓迎会の途中で眠気に襲われ、最悪なことに、社長に膝枕をさせていたらしい。目を開けた時に暗闇だったのは、顔が社長の腹部の方に向いていたからだった。



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