必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
 主の不在で、エイミも気を張っていたのだろう。ジークの無事の帰宅に安心したら、どっと疲れが出てしまった。その様子に気がついたジークがエイミの背中をそっと支える。

「大丈夫か? 長いこと不在にして悪かったな」

 エイミはあわてて首をふり、シャンと背筋を正した。

「いえ、いえ! 大事なお仕事ですもの。留守を守るのは妻の努めです」 

 その言葉を聞いたジークは、ふっと微笑んだ。

「……なにか?」
「いや。ためらわずに妻と言ってくれるようになったのだなと。以前は恥ずかしそうに口籠っていたから」

 言われてみれば、そうだった。少し前までは、妻だなんて実感がわかず、言葉を濁してごまかしていた。

 この前ジークを怒鳴りつけたことだって、以前のエイミならとても考えられないことだった。

「いやだ。私ってば、図々しくなったのかしら」
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