ぜんぶ、嫌いだけど
「私はなにがダメなんだと思う?」
「……また?」
「うん、また」
こういう話を私は何度もされている。
夏那は、ぽつりぽつりと今日あった出来事を話していく。
彼氏とは順調だけど、友達を優先されることが多くて、そのことを先ほどの女子たちに〝彼氏が夏那を大事にしていない〟と言われたそうだ。
「私は大事にされてるって思ってるんだけど……でも冷たいって。私が尽くしているみたいなんだって」
「夏那は誰を一番信じたいの」
私の言葉に夏那が立ち止まる。
緩やかな夏風が私たちの間を吹き抜けて、夏那の色素の薄い髪が靡いてスカートがはためく。
「わかってるくせに」
ほんの少し、口を尖らせていじけたような表情になる。
「そんな顔しても可愛くない」
「私のことを可愛くないって言うのは、ちーちゃんくらいだよ」
「知ってる」
素っ気なく答えると、夏那が笑った。大きな目を細めて、ほんのりと頬に赤みがさす。