新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 注文したランチセットが運ばれてきて、ふたりで手を合わせていただこうとしたものの、箸を持ちなり井手君はハッとなる。

「あっ! それと安心してくれ! 新川部長と金子さんの関係は、絶対に口外しないから。川端さんからも新川部長に伝えておいてくれ」

「ありがとう」

 そうだよね、井手君はベラベラしゃべるような人じゃない。変な心配をする必要などなかった。

「それにしても色々とすごいし、大変だよな。新川部長と付き合うのって。社内では絶対にバレたらいけないし、なによりこのままいったら川端さん、社長夫人じゃん」

 社長夫人……。そうだ、ジョージさんは次期社長。彼との将来を見据えたら、そういう未来がくるかもしれないということなんだ。

 ただ単に大好きな人と気持ちが通じ合えただけで、舞い上がって幸せでいっぱいだったが、ジョージさんとは、普通のお付き合いとはいかないよね。

「でもまぁ、新川部長は川端さんにベタ惚れだったし、なにがあっても守ってくれると思うぞ。それに事情を知っている俺もいるし。なにかあったら頼ってよ」

「井手君……」

 本当、最高の同期と出会えて私は幸せだ。
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