新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 気になって聞いてみると、咳払いをした後「そうかもしれません」と答えてくれた。

「今後、結婚されたら出産もされることでしょう。しかし、川端さんにはぜひ仕事を続けていただきたい。長くうちを担当してください」

「そんなっ……! ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします」

 頭を下げながら、泣きそうになってしまった。

 まだジョージさんと結婚して、さらには家族が増える未来を想像することは難しいけれど、いつかそんな日がきてもやっぱり仕事は続けていきたい。
 こうして私を必要としてくれる人がいる。なにより仕事が好きだから。

 店を出ると辺りは薄暗くなっていた。本当は一度会社に戻って、残っている仕事を片づけようと思っていたけど、明日に回そうかな。先輩にも定時を過ぎるようなら、直帰してもいいって言われているし。

 今日はこのまま直帰することに決めて、最寄り駅へと歩を進めていく。

 駅の改札口が遠くに見えてきた頃、一台の車が少し先の路肩に駐車した。

 それは車に詳しくない私でもわかる高級外車。
< 257 / 277 >

この作品をシェア

pagetop