新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
「知ってたか? あのふたりが婚約しているって」

「あ、うん。先輩から聞いた」

「お似合いだよな」

「……うん」

 本当にお似合いだと思う。金子さんは綺麗だし優しいし、仕事もデキるし。完璧すぎる。
 やっぱりジョージさんは、密かに金子さんに恋心を抱いているのではないだろうか。

「井手、悪い。ちょっと手伝ってもらってもいいか?」

「あ、はい!」

 通りかかったのは、ダンボールふたつを手にした営業部の先輩だった。

「それじゃ川端さん、また明日」

「うん、お疲れ様」

 挨拶もそこそこに、井手君は先輩のもとへ駆け寄っていった。

 私も手伝うべきかと思ったが、あまり出しゃばらないほうがいいよね。
 以前の勤め先でのことがトラウマとなっているのか、ちょっとしたことで躊躇する。ここでは先輩たちとうまくやっていきたいと思うからこそ余計に。

 踵を返し、オフィスに戻ろうとしたとき。

「涼ちゃん!」

 大きな声で呼ばれて振り返ると、こっちにおいでとで招きしているのは金子さんだ。もちろん隣にはジョージさんもいる。
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