新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 なっ、なんですか通りざまの頭クシャッて! ときめかされたのですが。

 ドキドキして胸が苦しい。立ち尽くしていると、数メートル先でジョージさんは足を止めた。

「ほら、早く帰るぞ。いくら人があまりこないと言っても、誰かに見られない保証はない」

 振り返り言うと、早く来るように首で促す。その仕草も一々カッコよくて心臓は崩壊寸前。それでもどうにか返事をし、彼が運転する車で帰宅した。


「本当に簡単なもので申し訳ないけど、よかったら食べてくれ」

 ジョージさんは謙遜するが、テーブルに並ぶ料理はどれもおいしそうだ。
 明太子のクリームパスタに、生ハムのサラダ。それとカボチャのスープ。

 材料は日中のうちに大家さんが買い揃えてくれていたようで、帰宅するとすぐにジョージさんは調理に取りかかった。

 ジャケットを脱いでワイシャツの袖を捲ると、ミドルエプロンをつけて手早く調理していく様には、本当に惚れ惚れした。

 お父さんは料理をしない人だから、男性がエプロンをつけてキッチンに立ち、料理を作る姿はとても新鮮。おまけにこんなにおいしそうな料理を作れるなんて……!

 ジョージさんってば、パーフェクトすぎる。
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