新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 終業時間が近づいてきた頃、ジョージさんから直帰するという連絡が入ったようで、日帰り出張の金子さんを迎えに行くのかも。という憶測が飛び交った。

 定時を迎えてもみんななかなか帰ろうとせず、ジョージさんたちの話で盛り上がる中、私は急いで荷物をまとめて先輩たちに挨拶をし、オフィスを後にした。

 大家さんは家にいるよね。金子さんとジョージさんはどうだろう。

 あ、でも大家さんは会社で騒がれている噂を知らないわけだし、安易に聞かないほうがいい?
 だけどこれは大家さんにも関係していることだ。耳に入れて置いたほうがいいのでは?

 グルグルと考えながらも、駆け足で最寄り駅へと向かい、家路についた。



 改札口を出て、商店街を抜けていくと見えてきたシェアハウスには、明かりが灯っていた。はやる気持ちを抑えて玄関のドアを開けると、部屋の中は静まり返っている。

 ジョージさんと金子さんはまだ帰ってきていなくて、大家さんは部屋で仕事をしているのかもしれない。

 それでも「ただいま帰りました」と言って廊下を進んでいくと、リビングに繋がるドアが開いた。
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