クールな王子は強引に溺愛する
それからはリアムと会話をする時間を大して持てぬまま、目的地らしき場所に辿り着いた。そこはクリフォード辺境伯領だった。
クリフォード辺境伯領は、森に阻まれているがエミリーの故郷エストレリアとは隣の領地にあたる。クリフォード家はエストレリア家が唯一、親交のある伯爵だ。
目的地がクリフォード辺境伯領と知る前は馬車がだんだんと進むにつれ、エストレリア伯領が近づいていたため、エミリーを家族に会わせようと足を伸ばしてくれたのだと思っていた。しかしそもそもの目的地がクリフォード辺境伯領だったのだ。
屋敷に入ろうとするところで、リアムは真っ直ぐに前を向いて告げる。
「辺境伯になろうと思っている。今日はその挨拶をしに来た」
「挨拶、ですか」
「ああ。しばらく滞在もする予定だ」
グレイソンは肩を竦め、呆れた顔をしているが、もうなにも言って来ない。