クールな王子は強引に溺愛する
式典には王国の内外から実にさまざまな要人が集められ、その光景は圧巻だ。粛々と式典が進められるのを、リアムは第二王子という立場から見届ける。立ち位置も国王陛下、王妃と並びを共にしている。
第二王子はやめようと思ってやめられるものではないのだろうな。と思いつつ、エミリーは緊張し過ぎて、リアムの隣に立つ自分が現実ではないような心持ちのまま式典に参列していた。
正式な結婚式ではないため、婚約を認める主旨の宣言を陛下がされ、バージルがフレイア姫に婚約指輪を贈った。
集まった要人への報告が終わると、このあとの晩餐会に向け、各々で移動していく。バージルとフレイア姫は広間からバルコニーへと移動する。
ここからは国民への報告になるのだろう。
フレイア姫は噂通りの美しい姫君で、バージルと見つめ合う姿は絵画のようでうっとりと見惚れてしまう。バージルも心なしかいつも以上に穏やかな顔をしている気がする。
同じようにふたりの姿を見つめているリアムに、つい本音をこぼす。
「麗しい姫君ですわ。本当によろしかったのですか?」
フレイア姫がバージル王子と気持ちを通わせていて気が引けるというのなら、妹の第二王女のリリアン姫だって、きっと絶世の美女だ。
子どもの頃の幼い記憶だけを頼りに求婚してくれたリアムに感激はしたものの、少しだけ不安になる。