クールな王子は強引に溺愛する

 応接間に通されると、両親は揃って出迎えた。一通りの挨拶を済ませた後、リアムは父に頭を下げた。

「エストレリア卿。迅速な対応、感謝いたします」

 アンベリール王国の第二王子に頭を下げられ、父は驚いて恐縮している。

「頭をお上げください。救っていただいたのは我々です」

 やっぱりこの結婚には愛はないのだ。そう思うと寂しくなるが、慈悲を掛けてもらったのだから有り難いと思わなければ。

 エミリーなりに解釈していると、リアムは思わぬ言葉を口にする。

「いえ。こちらが無理を聞いてもらいました。エミリー嬢は美しくお育ちになられた」

 美しくお育ちに?
 それは、幼少期を知っているからこその、覚えているからこその、言葉と思ってもいいの?

 精悍とした横顔を盗み見ても、リアムの心の内は窺い知れない。

「エミリーが突然嫁ぐのは寂しくもありますが、リアム王子との結婚ならば、我々も安心して送り出せます」

 父は声を震わせ、母も父の後ろで今生の別れを惜しむように涙を浮かべている。そんな両親の姿を目の当たりにして、エミリーも鼻の奥がツンと痛くなった。

 まだ、結婚の報告にいらしてくださっただけなのに、お父様もお母様も気が早いわ。
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