クールな王子は強引に溺愛する

「では、早急に出発したい」

「今から、ですか?」

 父が目を見張って、それから「そうですね。準備させます」と従った。

 どういうことだろう。と、目を白黒させていると、いつの間にか帰っていたモリーを中心になにやら旅行に出掛けそうな荷物を運び出し始めた。

「お父様、これは」

 戸惑う視線を父に向けると、父はエミリーを説き伏せるように話し出した。

「エミリー。リアム王子は陛下のご子息だ。陛下に結婚のお許しをいただかなければならない」

「ええ。それはもちろんです」

「決まり次第、至急話を進めたいと頼んだのだよ」

 リアムに隣から補足され、今の状況をおぼろげに掴まえる。

「それはつまり、陛下にご挨拶に行くのですね? その出発が今すぐにと」

 リアムが頷いてそうだと肯定の意を示す。

「本日をもって、エミリーを我が妻と同等の立場のものとする」

「はい。エミリーをよろしくお願いいたします」

 父が頭を下げるのを、どこか夢現で見つめた。
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