クールな王子は強引に溺愛する
リアムは自分の部屋の前で緊張気味に立ち尽くす。このところエミリーに会いたくないと思う自分がいた。愛おしいエミリーのはずが、人形のように精気のないエミリーを見るのがつらかった。
しかしそうしてしまったのも自分のせいかもしれないと思い直し、いつも扉をノックするのだった。
「はい」
ノックの音に力ない声が応える。
「俺だ」
「はい。どうぞお入りくださいませ」
扉を開けると、虚ろな目をしたエミリーが出迎える。
テーブルに目を向けるとティーセットが並べられており、紅茶を嗜んでいたところだったようだ。
「紅茶を飲んでいたのか」
リアムの入室と同時に侍女は出て行ったのか、エミリー以外に人はいない。長椅子に座っていたエミリーの隣に、リアムも腰掛けた。
「はい。モリーが故郷を思い出せるようにと、野苺のジャムを入れてくれて」
ほんの少し、以前のエミリーを垣間見た気がしてハッとする。しかし、それもただ一瞬だけだった。
どこかでは気付いていたのだ。自分はエミリーを鳥籠のように城に閉じ込めて、安心していたいだけなのだと。