ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
五章、まだ見ぬ未来へ

花嫁候補でいられるあと三ヶ月、悔いを残さないように出来るだけのことをしようと心に決め、ロザンナはひたすら熱心に授業に取り組む。

その必死さから本気になったのが周囲に伝わり、寮のロザンナの部屋には宝飾品をはじめ、いつか食べたサンドイッチ、花束に専門書など、アルベルトから様々な贈り物が届くのを花嫁候補たちが目にし、取り巻きたちの勢力図も変化していた。


「ロザンナさん、やっと補習がなしになったそうですね。良かったですわ」

「当然ですよね。最近のロザンナさんはやる気に満ちていますもの。メロディ先生も期待されているようですし」

「次の試験でどうなるか、本当に楽しみですわね」


確実に人数が増えた取り巻きたちに席を囲まれてしばらく愛想笑いを浮かべていたロザンナだったが、バッグを肩にかけ、以前ゴルドンに借りて繰り返し読んでいた聖魔法の本を両手で抱え持つと、静かに告げる。


「試験も近いので失礼しますね。ご機嫌よう」


最後に隣に座ったまま動けないでいるルイーズへ「また明日」と囁いて、ロザンナはその場を突破する。

そのまま、かつて共に一般の試験を受けたエレナの所に向かい、持っていた本を彼女に差し出した。

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