ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

もちろんすぐにトゥーリが「お待ちください」と追いかける。

通り過ぎたばかりの本屋へとロザンナは小走りで向かうも、入り口手前で足を止めた。


「お嬢様、入り口はこちらですけど」

「うん。わかってる」


しかし足はなかなか店の中へと進まない。

ロザンナが見つめる先は本屋ではなく、その隣にある診療所。もっと詳しく言うなら、診療所の花壇の手入れをしている男の背中だ。

実は散歩中にアルベルトから、ゴルドン診療所の所長の話もされている。

今は小さな診療所で町の人々と向き合っているが、昔は王族の主治医を務めていたこと。

光の魔力を使って治癒行為をする聖魔法師たちにはまさに神のような存在であり、アルベルト自身にとって今なお信頼の置ける人物であるとも。

「その人に話をしてある。同じ力を持つもの同士、彼からたくさんのことを学べるはず。本気で学びたいなら訪ねると良い」

そう言った彼の力強い表情が躊躇うロザンナの背中を押した。


「……すみません。所長のゴルドンさんはいらっしゃいますか?」


振り返った男は朗らかな声で「はい、私ですが」と返事をし、ゆっくり立ち上がった。

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