ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
痩せ型で、銀色の髪を無造作に後ろで束ね、眼鏡をかけた男性を見つめ返しながら、この人がとロザンナは心の中で呟く。
エストリーナ家にも主治医はいる。そのため町医者である彼との接点はないものの、とても良い先生だという話は何度か耳にしていたのだ。
アルベルトがくれた縁をつなげたい。
どうにかしてこの人の元で学べないだろうかとロザンナの気持ちがはやり出した時、「お嬢様」とトゥーリが困惑気味に呼びかけ、ゴルドンの眉根がぴくりと動いた。
「もしかして、ロザンナ様ですか? アルベルト王子から話は伺っております」
気付いてくれたことが嬉しくて「はい!」と笑顔で頷き返すと、ゴルドンもニッコリと微笑む。
「本当に聞いた通り、お美しい方ですね。あのアルベルト様が天使のようだとうっとりしていたのも納得だ」
そのひと言でトゥーリは「まぁ、アルベルト様が?」と頬を染め、ゴルドンに対する警戒心をすぐさま緩めた。
ロザンナの中でそれはどのアルベルトの話かという疑いがちらり生じるも、ここで引く訳にはいかない。
「私に光の魔力のことを教えてください」。直球でそう切り出したいところだが、トゥーリが傍にいるため出来ない。