愛は惜しみなく与う⑥
そこに映る女を見て、何かが繋がったような気がして、血の気がひいた


なんだ、この胸騒ぎは




「すみません、お待たせしました」




そこに後処理を終えた志木さんが戻ってきた。俺たちの様子ですぐに、見つけてきた証拠が重いのだと気付いたと思う。

でも志木さんは、それよりもまず、俺たち全員を思いっきり抱きしめた



「怖い思いをさせましたね。すみませんでした。貴方達が無事で、心からホッとしています」


志木さんの声は震えていた

あの状況が、いかに自分に恐怖を与えていたか、今になって分かってきた



「貴方達の優しさに甘えてしまいました。事情を知っていて、杏様を慕う貴方達が側に居てくれたら私も心強いのです。でも、危険な目に合わせたことに、変わりはありません」


スッと俺たちから離れて、志木さんはバンの運転席に座った


おかしいと思った。その時の志木さんの様子が?



「おい、志木、これはどこに向かうつもりや?」


「……駅までお送りします」


帰れって…言うのか?
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