透明な世界で、ただひとつ。
「私に何買ってくれたの?」
「ネックレス。もう社会人になるんだからいい加減その100円のネックレスはやめなよ。
てか、見てるこっちの方が申し訳なくなるから。」
そう言った柚香は私の手に細長いベルベットの箱を持たせる。
「開けていい?」
「どうぞ。」
数時間前にしたやり取りを今度は柚香と繰り返す。
指先の感覚で箱の開け口を探して開くと、ネックレスのチャームに反射した蛍光灯の光が目の奥に届く。
「つけてあげる。」
「お願い。」
そう言うと、柚香は私の手元からネックレスを取る。
私が背中を向けると首筋に冷たい感覚が走った。
「どう?似合ってる?」
「あたりまえじゃん、私が瑞希のこと考えて選んだんだから。」
私が柚香に聞くと柚香は嬉しそうにそう言ってくれた。
「誕生日おめでとう。」
「ありがとう。」
その笑顔が、1番のプレゼントだから。