クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 野生の獣を思わせる、無駄のない引き締まった体躯。粗削りながら整った容貌は雄々しくて、艶やかな黒髪と濃いブルーの瞳が合わさって妙にセクシーに感じる。
 縫い止められたみたいに男性から目線が逸らせない。深い湖面を映したような青に魅せられて、恍惚と男性に見入った。
 一メートルほどのところまで近づいたところで、男性は大きく目を瞠った。その目が、スッと細くなり、形のいい唇が薄く開く。
「君だ! ずっと君を捜していた――!!」
 呼び掛けに、えっ?と思ったのと、美貌の大男が私に向かって飛び掛かってくるのは同時だった。
「きゃっ!? きゃぁああぁあっ!!」
 ――ゴスッ!
「ヴッ」
「……あ、あら?」
 突然の事態に、無我夢中だった。だから、自分がなにをしたのかはよくわからない。ただ、渾身の力で右足を蹴り上げた直後、大男は股間を押さえてズルズルと沈み込んだ。

***

 未来の妻から、鋭い蹴りを股間に受けて、ブドウ畑に沈む。
 この世の終わりかと思えるほどの激しい衝撃に、ヒュッヒュッと細切れの息を吐きながら、苦悶に喘いだ。
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