クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 マリアを抱き上げると、逸る思いで寝台に向かう。先にマリアを横たわらせ、俺も寝台に乗り上がる。
 そうして彼女に体重を掛けぬよう、ゆっくりと覆い被さ……んっ!?
 ところが、俺が今まさに彼女に重なろうとした瞬間、彼女がコロンッと横に寝返って消えてしまった。これにより、俺は柔らかな彼女……ではなく、柔らかな敷布に沈み込む。
「ねぇライアン、あのお宅、窓の奥が赤いわ。なにかしら?」
 俺の下から消えた彼女が、寝台奥側の窓に張り付いて声をあげる。俺の屋敷は高台に位置しており、寝室の窓からは居住区内の様子が一望できる。
 事もあろうか、彼女はこのタイミングで、窓の外の景色に異変を感じたようだった。
「……窓の奥が赤い? そんなのは模様替えをして、カーテンの色を赤に変え――」
 内心のショックが隠し切れず緩慢に視線を向ければ、はす向かいの屋敷の二階から燻る炎が目に飛び込んだ。
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