クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
「っ、あなた無事だったのね! 怪我はない!? 火傷は!?」
 歓喜が心と体を震わせる。発した声も、無様なくらいに震えていた。
「ああ、大丈夫だ! 問題ない!」
「……よかった! 本当によかった。……私、あなたを失ってしまうんじゃないかって怖かった。あなたが私を置いて、逝ってしまうんじゃないかって不安でたまらなかった……っ!」
 耳を打つ愛しい声に胸が詰まり、目に涙が溢れた。だけど涙はこぼれるよりも前、厚い胸に顔面が押しあてられたことで彼の煤焦げた外套に吸われて消える。
「マリア、心配をさせてしまったな。だが、俺が君をひとり残して逝くわけがない。今回も、救助できる勝算があったから飛び込んだ。やっと手に入れた君を、寡婦にしてたまるものか!」
「……ええ、ライアン! 私をひとり残して逝っては嫌よ!」
「当たり前だ! 俺たちが天に召されるのは、ふたりの髪が白髪に変わり、しわしわの老人になってからだ。だが、最期の瞬間は、ほんの少しだけ俺を先に逝かせてくれ!」
 ……え?
< 117 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop