クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
「ごめんなさい! あなたは、後ろからブドウを狙うアナグマを追い払おうとしてくれていたのに。てっきり、あなたが私に覆い被さろうとしているのだと勘違いしてしまって……本当に、なんとお詫びをしたらいいかっ!」
 アナグマ……? まさか、そんな物が周囲に息を潜めていようとは……。
 あの瞬間、俺は彼女以外見えていなかった。もちろんクマやイノシシといった獰猛な野生動物なら気配で気づいたが、人を襲うことの少ないアナグマは視界を掠めもしていない。
 ……どちらにせよ、俺が衝動的に抱き締めようとしていた事実は、告げるべきでないな。
「なに、ブドウはもとより、万が一アナグマが君に爪を立てでもしたら大事だと思ってな。怪我がなくてよかった。とにかく、この件はもう終わりだ。わかったらさぁ、顔を上げて」
 俺はポーカーフェイスの仮面を被り、アナグマ騒動にのっかった。
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