クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
「そうか、やはり君がマリアか。俺は騎士団長のライアンだ。此度、騎士団がこの修道院の修繕作業にあたることになったのは知っているだろう? それに際し、居住棟の修繕箇所を、見習い修道女たちのリーダーである君と確認するよう言われたのだ」
「なるほど、そういうことでしたか。なんだかライアン様には早まったところばかりお見せしてしまって恥ずかしい。本当に、色々とすみませんでした」
 俺が騎士団長と聞かされても、マリアには恐縮したり舞い上がる様子というのが微塵もなかった。騎士団長と明かした瞬間に秋波を送ってくる女性たちを多く見てきた俺の目に平然とした彼女の態度は新鮮で、ますます好感が募った。
「なに、そんなことは構わん。それよりも、俺のことはライアンでいい。俺も君のことをマリアと呼ぶ。これからの作業では、居住棟の状態や使用状況などについて、色々と聞かせてもらうことになるだろう。これから、よろしく頼む」
 極力のさり気なさを装って、彼女の前にスッと右手を差し出した。胸を打つ音が、煩いほど鼓膜にドクドクと反響していた。
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