クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 生まれて初めて母以外の女性と触れ合う。そんな歓喜の瞬間を前に、鼓動は早鐘の如き勢いで鳴り響き、体温は急上昇した。
 彼女の手が、スッと持ち上がる。白魚のごとき滑らかな手が、ついに俺の手に触れる――。
 ――キュッ。
 触れ合った瞬間、手のひらから全身に電流が突き抜ける。痺れるような熱が体を駆け巡り、全身がカッカと燃え立つように火照った。
 重ねた彼女の手は、俺が僅かにでも力を込めれば握り潰してしまいそうな小ささだった。しかしその手はふわりと柔らかで、幸せの匂いがした。
 潰さぬよう、壊さぬよう、細心の注意を払って握り締めながら、まるで幸福のただ中を揺蕩っているかのような、そんな心地に酔いしれた。
「よろしくお願いします、ライアン……あら? なんだか、ずいぶんと手が熱い……?」
 俺の手をキュッと握り返した彼女が、訝しげに首を捻ったかと思えば、慌てた様子で手を解く。遠ざかってゆく温もりがどうしようもなく寂しく、まるで半身をもぎ取られてしまったかのような消失感に、心が軋みをあげた。
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