クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
「そう……。あなたは悲しい事件を乗り越えて、その上で、こんなに強く優しくあるのね。頑張ってきたわね」
「不思議だよ。マリアにそんなふうに言ってもらえると、これまでの自分が報われる気がするよ。でもねマリア、父親不在の悲しみは大きかったし、男手のない不便も多かったけど、騎士団からの金銭補償は迅速で手厚かった。一家の大黒柱を奪われて援助もなければ、残された妻子は生きていけない。だけど他国の騎士団では、そういうのが蔑ろにされる場合も多い。そういう意味では、きちんと人道的な知見を持った前任の騎士団長には感謝もしてる」
 なるほど、前任の騎士団長は……父は、団員思いの立派な長であったらしい。しかし一夫一妻の法を犯し、愛妾に婚外子を産ませた行為は、人として不実だ。
「なんだか、しんみりさせちゃったな。とにかくさ、あたしが狙うのは商売人のいい男だ! 腕一本で商売を盛り立てて、妻子を養う気骨のある男だ。もちろんあたしも、旦那と一緒に店先に立って、一緒に商売を盛り立てるつもりさ」
< 34 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop