クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 カ―ラが十五歳で修道女見習いとして入所してきてから、はや一年。私たちは一番の親友で、これまで色々な話をしてきた。
「あなたは、漁師の家で育ったのではなかった? 船乗りには必須だと、モールスの合図や絶対に解けない強固なロープの結び方といった漁師直伝の技を教えてくれたわよね」
 多くした会話の中で、私は彼女が港町で育ったことを聞かされていた。当然、カ―ラの父親は漁師なのだと思っていた。
「うん。あたしは、母さんの実家の港町で育った。だけど漁師で、あたしに色々教えてくれたのは叔父さんさ。あたしの父さんは、騎士だった」
 彼女の父親が騎士、ましてや殉死したなどというのは初耳だった。
「そうだったの……」
「もう、十二年前になるか。カルドニア帝国の山岳部族が越境してきて、略奪行為が横行したことがあったんだ。それの制圧に派遣された騎士団の小隊に、父が所属してたんだ。……一国の規模で見れば、ほんの小さな事件のひとつで、もう覚えてる人だってほどんどいない。だけど、あたしにとっては、父を亡くした苦い記憶だ」
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