クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 咄嗟に腕の中の彼女を覗き込んで問えば、彼女はまるでこの世の終わりにでも直面したように悲愴感の篭った声で何事か口にする。彼女の声は小さく、ほとんど聞き取ることができなかった。
 細い肩をプルプルと震わせて俺を見上げる、潤んだ瞳。不安げに下がった眉。胸の前でキュッと握られた小さな拳。
 小動物のごとき彼女の姿が、俺の胸をズクンと抉る。庇護欲を刺激する可愛すぎる彼女の姿に、クラクラと目眩がした。
「ない、とはどういう……」
 なんとか平静を取り繕って口を開き、途中ではたと思い至った。
「あぁ、もし衣服のことを言っているならば、体温低下を防ぐ為に俺が脱がせた。ただし、衣服を脱がせたことも、肌を合わせて体温を分け合ったことも、状況的にやむを得なかった。思うところはあるだろうが、どうか納得して欲しい」
 俺が衣服について告げた次の瞬間、うるうるに潤んだ彼女の目からブワッと涙が迸る。
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