クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 島に上陸して最初の挨拶の場で、修道院長はマリアを指名した時、一年後には正式な修道女になる予定の娘で、どの見習い修道女よりも祈りに熱心なのだと、そんなふうに評していた。
 もしかすれば、それは修道院長なりの牽制で、暗に「マリアに手を出してくれるな」と伝えていたのかもしれない。どちらにせよ、俺はあの場にあって、マリアのことなど気にもしていなかった。
 それがどうだ!? ひと目見えた瞬間に、あふれるほどの歓喜が全身を駆け抜けた。俺の妻になるのはマリアしかあり得ないと確信した。
 マリアこそ、出会うべくして出会った運命の相手――!
 彼女を手中に収めるために、手段を選んではいられなかった。今だって、その思いに変わりはない。
 けれど、机を支えにして小刻みに肩を震わせる老院長を前にすれば、無性に胸が疼いた。
「……なんということでしょう」
 真っ青な顔をした修道院長が、戦慄く唇で呟く。マリアは傷ついた目をして、取る者のない手をおずおずと下げ、グッと握り締めた。 
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