Everlasting Love〜きみに捧げる永遠の愛の歌〜
8.触れさせて

 エセはもともと家庭に何かしらの事情を抱えていた。周りの大半は気づいていなかったけど、美鈴と同じクラスで現終火のメンバーであるアツシくんとシュンくんは気付いていた。

 でも美鈴は詳しいことを知らぬまま私のいる中学に転校した。

 中三になって急にエセからバンド結成したからサポートでライブ出て欲しいと誘いがあったらしい。

 久々にエセとアツシくんとシュンくんと集まった時、エセの隙を見て、アツシくんとシュンくんに美鈴はこう言われた。

『隼人に最近の様子とか聞かないでやって欲しい』

 美鈴はその時、自身が転校した後に何かがあったと悟ったが、それがなんなのかは結局知らずじまいらしい。

 ただ、雰囲気がガラッと変わっていたと美鈴は言っていた。

 他人との間に明確な壁を作るようになったと。



『かほ〜やっぱり熱上がっちゃったみたい。今日休むね泣』

 朝起きると美鈴から連絡が来ていた。昨日の時点で熱があったのに、無理させてしまったなと少しだけ自責に駆られる。

 眠たい目をこするがまだベッドから出る気力も湧かず、寝そべりながらスマホをいじる。

 すると、以前設立しておいたSNSにメッセージが入っていてそれを開くと終火のアツシくんからだった。そういえばアツシくんやシュンくんと連絡先交換していなかったっけな。

『かーちゃんやっほー。今日朝早く来れたら音楽室来てくんない?』
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