Everlasting Love〜きみに捧げる永遠の愛の歌〜
車内に流れる音楽は最近人気の女性歌手の新アルバムの楽曲だった。彼女の透き通った綺麗な歌声が、重苦しい空気を緩和してくれているように感じた。
ただぼんやりと音楽に身を任せていると、あっという間にエセの自宅に到着した。
車から降りて、エセの後ろをついて歩き、家の中にお邪魔する。
リビングに入ると、初めて会う男性と目があう。とりあえず会釈し、エセの顔を伺う。エセは男性に向かって話しかける。
「おじさん、仕事じゃなかったの?」
「さなえから連絡があってな。仕事切り上げて帰ってきたんだ。」
この男性はエセの父親代わりで、「さなえ」というのはおばさんの名前だろう。
というか、一家の中に他人?の私が居ていいのだろうか。少し気まずい。いや、少しどころじゃなく、かなり気まずい。
「かほちゃん、座って。麦茶と烏龍茶と緑茶とオレンジジュースがあるんだけど、どれがいいかな?」
居づらそうにしている私に気を遣ってくれたのかエセのおばさんが私に優しく声をかけてくれる。
「あ、すみません、わざわざ。それじゃ、麦茶でお願いします。」
「はーい。そこの二人も麦茶でいいわよね?」
エセのおばさんはキッチンに飲み物を取りに行く。私がエセのおばさんに指定された席に座ると隣にエセが座る。そしてエセの正面におじさんが座る。
んー、やっぱり気まずい。
横目でエセを見ると顔が真っ青になっていることに気づいた。手もほんの少し震えているように見える。
ああ、怖いんだ。