Everlasting Love〜きみに捧げる永遠の愛の歌〜

 有名なメーカーの人気の型番のギター。沈むような重厚感のある音が特徴的なこのギターは彼が私にギターを教えてくれた時にくれたものだ。

 当時まだ中学生だった彼はこのギターと、もう一つギターを父親から譲り受けたそうだ。それを私がもらってもいいものなのか当時すごく戸惑ったのを覚えている。しかし彼は満面の笑みで大切にしてくれるなら構わないと言ってこのギターを私にくれた。

 チューニングを済ませ、コードを鳴らす。そしてそれに合わせて歌った。

 あの日のことを思い出す度にどうしても心が疲弊して居た堪れない気持ちになる。そういう時、こうして歌うことで感情を発散させる。

 全て、そうちゃんが教えてくれた。ギターの弾き方も、コードも、楽譜の読み方も、歌うことも、全部全部そうちゃんが教えてくれた。私は悲しみに耐える方法をこれしか知らない。だからこうして、ギターを鳴らし歌うことしか出来ない。

 浅井蒼太《あさいそうた》。私の最愛の人だ。



 ぱちぱちぱち。

 何曲か歌い上げた後、部屋の入り口から拍手が聞こえ、そちらに目を向ける。そこには私の唯一の友人であり、近所に住む森山《もりやま》美鈴《みすず》が笑顔でこちらを見て拍手していた。私が手招きすると嬉しそうに笑顔で私の横に座った。

「おはよ、かほ。」

「おはよ。」

「あ、そうだ。かほ、玄関の鍵開きっぱなしだったよ。閉め忘れた?」

「美鈴が来ると思って少し前に開けておいたんだよ。インターホン鳴らされても多分私気付かないし。」
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