きみがため
桜人は、変わってしまった。

もしかしたらそもそも彼はずっと変わってなくて、不愛想で寡黙な小瀬川くんのままで、この数カ月私は夢を見ていたのかもしれない。

バス停までのわずかな道のりで、同じ制服を見つけた。

茶色のロングヘアーが、夜風にさらりと揺れる。

それは、浦部さんだった。

「水田さん?」

「浦部さん……?」

浦部さんは、明らかに怪訝そうな顔をしていた。

どうしてここに?と聞きかけて、ハッと押し黙る。

この頃、浦部さんは桜人とよく一緒にいる。

付き合ってるんじゃないかという噂も流れている。きっと桜人がここでバイトをしていることを知っていて、来たのだろう。ひょっとすると、これまで何度も来たことがあるのかもしれない。

「桜人くんに会いに行くの」

案の定、浦部さんはそう言った。勝ち誇ったような顔だ。
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