きみがため
「真菜ちゃん!」
すると、すぐ近くから声がした。
振り返れば、顔なじみの看護師の近藤さんが、廊下の中腹で人好きのする笑顔を浮かべている。
どうやら、夢中で光を探すあまり、彼女の前を通り過ぎてしまったみたい。
「近藤さん。光、見ませんでしたか?」
近藤さんに声を掛けてから、私は凍り付いたように足を止めた。
彼女の向かいに、思いもしなかった人物がいたからだ。
それは、桜人だった。
午前中の授業が終わって、直接ここに来たのだろう。紺色のブレザーにズボン。
制服の上に、グレーのマフラーを巻いている。手にはスクールバッグの他に、パンパンになった紙袋が握られていた。
――どうして、桜人がここに?
桜人は束の間私と目を合わせたあと、すぐに気まずそうに伏せた。
微妙な雰囲気の私と桜人の様子に気づいたのか、人のいい近藤さんが、間を取りなすように明るい声を出す。
すると、すぐ近くから声がした。
振り返れば、顔なじみの看護師の近藤さんが、廊下の中腹で人好きのする笑顔を浮かべている。
どうやら、夢中で光を探すあまり、彼女の前を通り過ぎてしまったみたい。
「近藤さん。光、見ませんでしたか?」
近藤さんに声を掛けてから、私は凍り付いたように足を止めた。
彼女の向かいに、思いもしなかった人物がいたからだ。
それは、桜人だった。
午前中の授業が終わって、直接ここに来たのだろう。紺色のブレザーにズボン。
制服の上に、グレーのマフラーを巻いている。手にはスクールバッグの他に、パンパンになった紙袋が握られていた。
――どうして、桜人がここに?
桜人は束の間私と目を合わせたあと、すぐに気まずそうに伏せた。
微妙な雰囲気の私と桜人の様子に気づいたのか、人のいい近藤さんが、間を取りなすように明るい声を出す。