きみがため
「小瀬川桜人くんよ。子供の頃、ここに入院してたの。今でも定期的に来て、こうやって図書室に本を寄付してくれるのよ」
「……図書室?」
驚きが重なり過ぎて、ようやく聞けたのは、そのひと言だった。
近藤さんが、「そう、そこの図書室。小さいから、あまり知られてないけどね」と蝶番がキイキイいっている小さなドアを指差す。
だけどもはや、私の頭には、その声は届いていなかった。
『子供の頃、ここに入院してたの』
先ほどの近藤さんの言葉が、繰り返し、頭の中で鳴り響いている。
あまりにも予想外のことで、気持ちがまとまらない。
桜人が、ここに、入院していた――?
すると近藤さんが、ハッとしたように口元に手を当て、私と桜人を見比べる。
「ていうかあなたたち、同じ学校の制服じゃない? もしかして、知り合いだったりする?」
――バタン!
ゆらゆらしていた扉が、そこで、勢いよく閉まった。
近藤さんも気づいたようで、首を傾げる。
「あら、図書室の窓が開いてるのかしら? 開けた覚えはないけど……」
「……図書室?」
驚きが重なり過ぎて、ようやく聞けたのは、そのひと言だった。
近藤さんが、「そう、そこの図書室。小さいから、あまり知られてないけどね」と蝶番がキイキイいっている小さなドアを指差す。
だけどもはや、私の頭には、その声は届いていなかった。
『子供の頃、ここに入院してたの』
先ほどの近藤さんの言葉が、繰り返し、頭の中で鳴り響いている。
あまりにも予想外のことで、気持ちがまとまらない。
桜人が、ここに、入院していた――?
すると近藤さんが、ハッとしたように口元に手を当て、私と桜人を見比べる。
「ていうかあなたたち、同じ学校の制服じゃない? もしかして、知り合いだったりする?」
――バタン!
ゆらゆらしていた扉が、そこで、勢いよく閉まった。
近藤さんも気づいたようで、首を傾げる。
「あら、図書室の窓が開いてるのかしら? 開けた覚えはないけど……」