きみがため
僕は、日に日にわがままになっていった。
誰かに、自分を見て欲しくて。“普通”じゃない、ありのままの僕を見て欲しくて。
でも、そんな人は現れなかった。
誰もが、病気で手のかかる僕を憐れむように見て、毎日のように繰り返すわがままを、めんどくさそうに叶えてくれた。
ある日のことだった。
昨夜もナースコールでさんざん看護師さんを呼んで困らせた僕は、午後からの問診で、少しは外の空気を吸った方がいいと医者に言われた。
なかば無理矢理、樫の木の生い茂る中庭に連れて行かれることになる。
外は嫌いだ。
空が、光が眩しくて、頭がくらくらする。
誰かに、自分を見て欲しくて。“普通”じゃない、ありのままの僕を見て欲しくて。
でも、そんな人は現れなかった。
誰もが、病気で手のかかる僕を憐れむように見て、毎日のように繰り返すわがままを、めんどくさそうに叶えてくれた。
ある日のことだった。
昨夜もナースコールでさんざん看護師さんを呼んで困らせた僕は、午後からの問診で、少しは外の空気を吸った方がいいと医者に言われた。
なかば無理矢理、樫の木の生い茂る中庭に連れて行かれることになる。
外は嫌いだ。
空が、光が眩しくて、頭がくらくらする。